子育ては一人で行うには大変な仕事です。特に、母子家庭のようなひとり親家庭では、経済的な負担が大きくなりがちです。しかし、日本にはひとり親家庭を支援するための様々な施策があります。これらの施策を知り、上手に活用することで、子育ての負担を軽減し、子どもたちにとってより良い環境を提供することができます。
ひとり親家庭向け生活支援施策の概要
ひとり親家庭とは
ひとり親家庭とは、主に母親または父親が一人で子供を育てている家庭のことを指します。これには、離婚、死別、未婚などの理由で一人親となった家庭が含まれます。ひとり親家庭は、経済的、精神的な負担が大きく、特に子育てや生活費の面で多くの支援が必要とされています。
日本では、このような家庭を支援するために、国や自治体から様々な給付金や手当が提供されています。
生活支援施策の目的
生活支援施策の目的は、ひとり親家庭が直面するひとり親家庭の経済的な安定を図り、子どもたちが健やかに成長できる環境を整えることです。
これには、給付金や手当、職業訓練、住宅手当など、日常生活の基本的なニーズを満たすことはもちろん、教育や医療、住宅など、子どもたちの将来に直結する分野での支援も含まれます。
そして、ひとり親家庭が自立しやすい環境を整えることを目指しています。
対象者の条件
ひとり親家庭向けの支援を受けるためには、いくつかの条件があります。具体的には、一定の所得以下であることや、子供が一定の年齢以下であることなどが条件として設定されています。
例とて、児童扶養手当は、対象年齢(18歳になった最初の3月31日〈障害児は20歳未満〉まで)の子どもを養育しているひとり親が対象です。
また、所得に応じて支給額が変わる場合もあります。具体的な条件や支給額は、住んでいる自治体によって異なるため、詳細は各自治体のウェブサイトや窓口で確認する必要があります。
給付金や手当の種類と金額
以下に、ひとり親家庭が利用できる主な支援内容をいくつか紹介します。
児童扶養手当の支給内容
児童扶養手当は、ひとり親家庭の子供を対象に支給される手当です。支給額は家庭の所得に応じて異なりますが、基本的には子供の生活費や教育費を補助するためのものです。
児童扶養手当は、対象年齢(18歳になった最初の3月31日〈障害児は20歳未満〉まで)の子どもを養育するひとり親家庭に対して支給される手当です。
この手当の支給額は、受給者の所得によって変動し、全額支給、一部支給、不支給のいずれかに分かれます。
全額支給で
一人の場合:全部支給(所得制限額未満)月額44,140円、一部支給:10,410円~44,410円
第2子:全部支給(所得制限額未満)月額10,420円、一部支給:10,410円~5,210円
:全部支給(所得制限額未満)月額6,250円、一部支給6,240円~3,130円
全額支給の場合
18歳未満の子供が1人の場合:月額44,140円
18歳未満の子供が2人の場合:44,140円+10,420円=月額54,460円
18歳未満の子供が3人の場合:44,140円+10,420円+6,250円=月額60,710円
という計算になります
手当の申請には、所定の書類を提出し、所得証明などの確認が必要です。支給額や条件は自治体によって異なるため、詳細は各自治体の窓口で確認することが重要です。
また、支給は毎月という形ではなく、数か月分がまとめて支払われるので注意が必要です。
児童扶養手当と児童手当の違い
名前が似ていて混同しがちなこの手当ですが、児童手当は日本に住む0歳から中学卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人が支給対象となります。ひとり親家庭でなくても所得制限内であれば支給対象となります。
ひとり親で所得制限に掛からない場合は児童手当・児童扶養手当と両方支給対象となります。
母子(ひとり親)家庭助成金の一覧
母子(ひとり親)家庭向けの助成金には、さまざまな種類があります。例えば、教育費の補助や医療費の助成、住宅手当などが含まれます。これらの助成金は、ひとり親家庭が経済的に安定した生活を送るための支援として提供されており、申請方法や条件は自治体によって異なります。助成金の詳細については、各自治体のホームページや窓口で確認することが推奨されます。
住宅に対する費用助成
一定の条件を満たす・自治体が協定を結んでいるなどの民間の賃貸住宅の家賃を助成したり、保証料の助成、引っ越し費用の助成を受けられる場合があります。
ひとり親家庭等医療費助成
ひとり親家庭等の保護者と18歳になった最初の3月31日までの子供について、医療機関や薬局を受診等した際の保険診療に係る自己負担分を助成します(住民税課税世帯は一部負担金あり。)。
なお、どのような内容であるかは、区市町村によって異なりますので、ご確認ください。
ひとり親家庭・特別給付金について
特別給付金は、特定の条件を満たす家庭に対して支給される金銭的な支援です。例えば、災害時の緊急支援や特定の経済的困難に直面した場合に支給されることがあります。支給額や条件は自治体によって異なりますが、申請には所定の書類を提出し、条件を満たしていることを証明する必要があります。詳細は各自治体の窓口で確認してください。
ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金
20 歳未満の子供を養育するひとり親家庭の保護者が、就職につながる対象講座を受けて修了すると、受講料の60%(上限20万円または40万円×修学年数(最大4年))が給付されます。
受講開始前に、手続きが必要です。
なお、区市町村によって、支給金額・対象者が異なる場合があります。
ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金
20歳未満の子供を養育するひとり親家庭の保護者が、看護師や介護福祉士等の国家資格取得のため、1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中(最大48月)に高等職業訓練促進給付金が、修了後に高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。
受講を開始してからでも手続きができますが、手続きをした月からの支給となります。
なお、区市町村によって、支給金額・対象者が異なる場合があります。
ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
より良い条件での就職や転職ができるよう、高等学校を卒業していないひとり親家庭の保護者及び20歳未満のお子さんの学び直しを支援しています。
ひとり親家庭の保護者等が高卒認定試験の合格を目指す講座を受け、修了・合格すると、給付金が受け取れます。
受講開始前に、手続きが必要です。
自立支援のための制度
ひとり親での就労相談や子育てや家事、健康管理など一般的な相談も市区町村の担当窓口で行っています。悩まず国の制度を活用してみてください。
就労支援・自立支援
支援事業は住民票のある都道府県や市区町村の担当課にお問い合わせください。
母子家庭等就業・自立支援事業(就業支援事業)
ひとり親家庭が自立し、安定した生活を送れるようにするための総合的な支援制度。ひとり親の職歴や、家庭状況に応じて、自治体の相談員から就職のアドバイスや求人情報が受けられます。
支援内容⚫︎就業に向けたアドバイス⚫︎求人情報の提供⚫︎在宅ワーク希望者のための情報提供
母子家庭等就業・ 自立支援事業(在宅就業推進事業)
ひとり親家庭が自立し、安定した生活を送れるようにするための総合的な支援制度。在宅ワーク希望者や在宅ワークに必要なスキルアップを希望する者を対象としたセミナー、在宅ワーカー同士が情報共有できるサロンの開催がある。また、在宅就業コーディネーターを通じて、自営型の在宅ワークや企業による雇用型テレワークへの移行を支援する取り組みもあります。
支援内容⚫︎在宅就業コーディネーターによるアドバイスなど(※)在宅就業コーディネーターによるサポートは原則として、最長1年⚫︎発注業者との契約締結に関するアドバイスや業務スケジュール管理などのノウハウ提供⚫︎在宅ワークに必要な知識や技能習得のための情報提供
母子家庭等就業・自立支援事業(就業環境整備支援事業)
ひとり親家庭が自立し、安定した生活を送れるようにするための総合的な支援制度。母子家庭の母親などが、自宅にパソコンやインターネット環境が整備されていないことを理由に、在宅ワークや各種オンライン訓練の受講ができないといったことがないよう、必要な機器を貸し出す制度です。
支援内容⚫︎パソコンの貸し出し(在宅ワークや各種オンライン訓練に必要なソフトを導入した上で貸し出す)⚫︎モバイルWi-Fiの貸し出し⚫︎ルーターの貸し出し
ひとり親家庭等日常生活支援事業
ひとり親が、自立のために必要な修学や病気などを理由に、生活支援や保育サービスを受けることができる制度です。
居住している都道府県や市区町村の担当課にお問い合わせください。
対象者
一時的な理由(就職活動や病気、出産、看護、事故、災害、冠婚葬祭、失踪、残業、転勤、出張、公的行事の参加など)により、生活援助、保育サービスが必要な場合や、生活環境等が激変し、日常生活に大きな支障が生じている場合のひとり親家庭など
乳幼児や小学校入学前の児童を育てており、残業で帰宅時間が遅くなるなど、定期的に生活援助、保育サービスが必要なひとり親家庭など
主な支援内容
乳幼児の保育、児童の生活指導、食事の世話、住居の掃除、身の回りの世話、生活必需品などの買い物、医療機関などとの連絡、その他必要なこと
ひとり親家庭等生活向上事業
ひとり親が生活を向上させるための国の事業です。
居住している都道府県や市区町村の担当課にお問い合わせください。
家計管理・生活支援講習会等事業
ファイナンシャルプランナーなど、専門家による家計管理の講習会を受けることができる。必要に応じて個別相談も実施。
学習支援事業
「高等学校卒業程度認定試験」に合格するための対策講座を受講しているひとり親などに対し、補習や学習方法についてアドバイスをする制度
住まい関連
自立に向けて、住居の刈り上げに必要となる資金の貸し付け制度などがあります。都道府県や指定都市の担当課にお問い合わせください。
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業(住宅支援資金貸付)
児童扶養手当受給者(同等の所得水準の者を含む。ただし、所得水準を超えた場合でも、超過後1年以内であれば対象とする)で、「母子・父子自立支援プログラム」(※)を作り、自立に向けて意欲的に取り組んでいるひとり親
:原則12か月に限り、入居している住宅の家賃の実費(上限4万円)を貸付
利息:無利子
返済期限:都道府県知事などが定める期間
返済免除
1年以内に「母子・父子自立支援プログラム」で設定した目標と一致した就職や転職等をし、1年間継続して働いたとき
死亡または障害によって返済ができなくなったときなど
また、公営住宅の優先入居や住宅セーフネット制度もあります。
生活保護との関係
生活保護を受けている家庭でも、追加の支援を受けることができる場合があります。生活保護は、最低限の生活を保障するための制度ですが、ひとり親家庭向けの支援施策と併用することで、より安定した生活を送ることができます。詳細は自治体の窓口で確認してください。
こどもの学びについての支援事業
こどもの生活・学習支援事業
対象者:ひとり親家庭や、祖父母など養育者に育てられている家庭、経済的に苦しい家庭のこども
主な支援内容
基本的な生活習慣の習得支援や生活指導
学習習慣を定着させるための支援
大学等の受験料や受験に向けた模擬試験の受験料の支援
高校生などへの就学支援などもあるので詳しくは住民票のある都道府県や市区町村窓口にお問い合わせください。
医療費や教育に関する支援
医療費助成制度
ひとり親家庭向けの医療費助成制度が提供されています。これにより、医療費の負担を軽減することができます。助成制度には、医療費の一部を補助するものや、特定の医療サービスを無料で受けられるものなどがあります。詳細は自治体の窓口で確認してください。
養育しているひとり親とその子が対象となります。
児童手当の活用法
児童手当は、子供の教育費や生活費に充てることができます。適切に活用することで、家庭の経済的負担を軽減できます。児童手当の申請には、所定の書類を提出し、所得証明などの確認が必要です。支給額や条件は自治体によって異なるため、詳細は各自治体の窓口で確認することが重要です。
高等学校における支援制度
高等学校に通う子供を持つ家庭向けの支援制度が提供されています。学費の補助や奨学金などが含まれます。これにより、子供が安心して学業に専念できる環境を整えることができます。
また、高校生等奨学給付金は申請をしないと受けられません。
こちらは文部科学省のHPで確認ができますので、確認後申請してください。

